富士山は古くから神として崇められていましたが、1149年に末代上人が山頂に寺院を造り仏像を奉納したことから、富士山信仰の修行はより具体化されるようになりました。道者たちは山頂でご来光を拝み、山頂の噴火口の外周を一周する「オハチ巡り」をしました。富士山の山頂には剣ヶ峰をはじめとする峰が八つあり、当時は仏様が座る蓮華座を見立てて「八葉」と呼んでいました。「オハチ巡り」の「ハチ」はこの八葉が由来になっています。
現代に生きる私たちもご来光を拝み、「お鉢めぐり」を楽しんだりしていますが、これらは信仰登山の精神が後世に引き継がれたものです。
※ここでは富士山信仰の修行として噴火口の外周を回っていた時代は「オハチ」とカタカナ表記で、現代の登山コースのひとつとして外周を回ることを「お鉢」と表記して区別しています。